カテゴリー「 作品発表 」の記事

47件の投稿

八、紗枝の後ろに 紗枝と杉太は、走りよって桜のポイントを、足でけってみた。 「ちょっと、土まで私にかけないでくれる」「そっちだって、仕返ししたじゃないか。おあいこだぞ」 半分ふざけて、半分けんかごしでじゃれあっている。  …
七、悲しみの根っこ 切り株が残されたが、あまりにも複雑にからみ合い、土の下の根は簡単には取り除けなかったのでそのままにされたらしい。   戦争中もあのひろばは空襲を受けずに、無事だったそうだ。子どもたちを遊ばせてくれるひ …
 六、眠れない夜 昔、あのひろばには、一本の桜の木が立っていたらしい。 隣の社宅が建つ前から、桜とケヤキの森はあったわけで……。 ケヤキはどれもりっぱで、室町時代からの長老。 桜は江戸中期に民衆の数すくない、いこいの場所 …
五、桜ひろばの悲しみ アンが、足を踏ん張ったのは、だれもがころばされるシュートポイントだ。 クンクンにおいをかいで、気になる様子がわかる。「この下に、何かうまってるのかな」 紗枝が、洋平と杉太の顔をうかがった。 一緒に遊 …
  四、桜ひろばのひみつ      しばらくして、山本君が、いとこだという中学生を連れてやってきた。 紗枝はじっと様子を伺った。 あっという間に、今までにない空気に変わったと感じたのだ。 目つきがきつい。というより落ち着 …
 三、あいつ たったこの前、商店街の桜ひろばで今年のお花見大会を盛大に終えたばかりなのに、ゴールデンウィークの売出しが終わった頃、いやなうわさが広がり始めた。 大山ストアーのおじさんが、胃潰瘍で入院した。 洋平と紗枝は気 …
  二、桜ひろばの三人 読書家の紗枝は、近頃は、冒険ファンタジー小説か、ミステリーを読みあさっている。 コロッケ屋「キッチン」の娘。 店の正式名称は「鳥越精肉店(とりごえせいにくてん)」だから、鳥越紗枝。 昔からこの町に …
   桜ひろばのひみつ 一、のろわれた桜ひろば「ねえ、聞いた聞いた?」 杉太(さんた)があわてた様子で、六年三組の教室に駆けこんできた。 サッカーボールに空気を入れるために職員室の後ろの出口を使ってる杉太は、先生たちのう …
     十 ミキオは、目覚めたとき、病院のベットに横たわっていた。 枕元に視線を落とすと、母親がひざまずいて祈っているようだった。 泣きはらした真っ赤な目は、母親としての、柔らかい慈愛に満ちた心を取り戻してい …
  九 フーワの案内でミキオと共に、元の家があったところへ、行ってみた。 庭は、夏草がのび放題の野原になっていた。 無人の廃屋がかろうじて残されていた。 ほんの少しの間と思っていたのに、時はずいぶん流れたという証が、あち …
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